『 ジュッリオのこと 』
『 カラブリアでの生活 』
『 季節の花-senso delle stagioni 』
『 今日、明日、そして未来 』
『 クリスマスのお話 』

『 クリスマスのお話 』

もうすぐクリスマス。外を歩くとクリスマスカラー一色でなんだかワクワクしてきてしまう時期。ところがこういう仕事をしているとどうしてもクリスマス＝忙しいになってしまい、12月に入ると悲しいものでまず仕込みの量を気にしてしまう。
イタリアも一年の中で一番クリスマスが盛り上がる。
町の中心（Centro)には出店が立ち並び（Mercatino per natale)、よく見ると大した物は置いてなかったりするのだが、とにかく買い物客で賑わう。
吐く息が白い寒さの中で道で売っている焼き栗を口にほおばりながらクリスマスプレゼントを探す。体が冷え切った時はバール（Bar)に入って温かいチョコラータ(Cioccolata)を飲みながら好きな数字を選んで当てる宝くじ（どこの国にもありますねー）をして外が暗くなるまで歩き回る。夜は夜でこの時期はいろんな広場(Piazza)でジャズだったりアフリカの太鼓だったりが演奏されていてちょっとオステリアでワインなんかを飲んでホロ酔い気分で聞く音楽は最高だった。まっ、これは仕事をしていない時のクリスマスバージョン（？）で、リストランテで働いている時はこうはいかなかった。
Bologna(ボローニャ）でのクリスマスはTortellini（トルテリーニ）の仕込みに追われた。イタリアは地方色が強いから場所によってこの時期食べるものは異なってくるのだが、BolognaはTortellini in Brodo（トルテリーニ　イン　ブロード）。Tortelliniはくるっと丸く包んだラビオリで中に肉が詰めてある。
これをブロード（肉のだし汁）に浮かべて食べるクリスマスの定番メニュー。
このTortelliniの仕込み、Pasta Fresca（生パスタ）を勉強したかった私にとっては本当に楽しかった。働いていたリストランテではパスタを伸ばすのもパスタマシーンを使わず、matterello(麺棒）を使ってやっていたので乾燥を防ぐためスピードが問われる。パスタ生地を正方形に小さく切った上に肉をのせて包んで成形する。この作業の繰り返しなのだが、小さなTortelliniがずらっと並んだ光景はとても愛らしい。
イタリア人のシェフとパスタと作りながらいろんな話をした。忙しい日々の中での仕込みだったが、クリスマスが近いということで自然に顔はほころんで普段話せないことまで話してしまったりして、今では楽しい思い出。彼女もコックであった彼女のお母さんからパスタを習ったそうで、こうやってイタリアでは母から娘達にパスタが伝えられ、一緒に作ったり話したりしたことが大切な思い出になっていくのだろうな。

今年はLe Gioieをオープンして2度目のクリスマス。今年も去年と同様にTortelliniを作る予定。自分たちの店でもTortelliniが作れることがとても幸せです。今年はどんなことを考えながらTortelliniを作るのだろう？？

Buon Natale !! （良いクリスマスを !! ）