『 ジュッリオのこと 』
『 カラブリアでの生活 』
『 季節の花-senso delle stagioni 』
『 今日、明日、そして未来 』
『 クリスマスのお話 』

『 季節の花　senso delle stagioni 』

レストランをオープンするにあたっての物件探しで、こだわった事がありました。
隠れ家のような薄暗い場所も秘密めいていて素敵だと思うのですが憧れていたのは陽の光が差し込んで透明感があって季節の花が映える場所。
しかも適度な大きさで・・・となると物件はなかなか見つからず1年近く定職にも就かずフラフラした生活を送ってしまいました。

オープン当初はイタリアンの激戦区の池下によくお店を出したねぇ、なんて言われたのですが実はあまり何も考えていなくてただ自分達の探していた物件が池下に見つかっただけ・・・
今頃になって激戦区の意味が分かってきてしまいました（＾−＾；）

　お店をオープンして2年と9ヶ月が経った今、足りない物や直したい事もたくさん出てきてプチ補修も何度かしました。でも、天気のいい日に陽の光が当たった葉っぱがキラキラしてキレイだなぁと感じたり、風に揺れている木々の影が壁に映っている様子を横目に仕事が出来ることは幸せなことだと感じています。
窓が大きいということは雨の日や風の強い日、雪の日も素敵です。
客席はもちろん厨房にいてもその日の天候を感じながら過ごせるというのは気持ちにゆとりが生まれる気がします。
　
　もうひとつ、お店には生花を置いています。といっても大抵のレストランには花は置いてあるものです。華やかな花でなくてもテーブルにすこし置いてあるだけで心が和むのは花の持つ力です。

レ ジョイエに置いてある花はレストラン向けの豪華な花ではないのですが全て毎朝、私の母が庭から取ってきたものでまかなっています。なので花屋では見る事のできないものがほとんどです。
花のない時期は緑の葉や木の枝だけになる時もあります。
それでも母は無理に花を置かなくてもいいし華やかな色を求めなくても葉っぱだけの青々とした感じは夏の力強さを感じるし紅葉した葉を置くと秋の雰囲気がとても素敵で自然でいいと言います。
私自身、花にそれほど強い関心があったわけではなかったのですが毎日、母の摘んだ花を眺めながら仕事をしていると季節感をとても感じます。
虫食いの葉っぱもカワイイ！という母の言葉に自分のいいと感じるものが一番なんだ！それが自分の感性であって強い信念になって人の心に届くのだなぁと思いました。私たちは、まだまだ試行錯誤の日々。でも自分達がこれだ！と思う気持ちを大切に、花と同じで旬の素材の美味しさを感じながらやっていきたい。
あぁ、日々、気づく事、教わる事の多さといったら・・・。計り知れません。